川島幸雄の生き生き60代

60代の方々に少しでも潤いを提供したいと思います。私の趣味のウォーキング、小旅行、音楽、映画、読書を通して。

53歳に立つ!行政書士事務所開業

2008年10月、世の中は原油高による世界的な資源高とアメリカのサブプライムローン破たんに端を発した株安による世界恐慌状態。リーマンブラザーズの経営破たん、金融安定化法案の不成立でアメリカの株は1日で500ドル以上暴落する日が続いている。日本、イギリスはもちろん中国、香港そして新興国の株式市場まで大幅な下落。日本の株式市場もついに日経平均が4年半ぶりに一時1万円を割ってしまうという事態になった。当然企業業績の悪化も必至でまたまたリストラの嵐がやってくる!会社に残れても給料の大幅ダウンは免れない。そうなれば家計もとことん切り詰めなくてはならない。

さてこのように世の中が長い世界不況の入り口にさしかかった時に、53歳の男が無謀にも独立、開業をした。

しかも行政書士という「法律家国家資格の中では一番食えない資格」と裏に表に囁かれる士業で。

そして同じ市内に20人近い同業の先輩先生方がいらっしゃる中、誰一人独立した事務所をもたず自宅を事務所と兼用で業務をおこなっているという状態の士業で、この男は事務所まで開設してしまったのである。

実はすでにこの男、長年勤めた人材派遣会社が吸収合併されたため、役員を退任し、流れるまま営業代行で独立して一年半が経過していた。

もう組織というしがらみで上に下に気を使いながら毎日10時間以上会社にしばられるという生活にほとほと疲れてしまった。正直20年以上こういう生活を続けてきたが、おそらく心から充実していると感じた日は1日とてなかったような気がする。

さて時は遡り2007年2月1日、独立したこの日より無収入状態三か月、月収10万円が三か月続く。まだ高校生、中学生、そして小学校にあがったばかりの子供たちが三人もいるのにである。

特に夜寝るとき、3番目の息子の寝顔を見るたび、この子を飢え死にさせてはならない、という父親としての使命感と、明け方には「このまま低収入、あるいは無収入状態がずっと続いてしまうのか!!」という不安と情けなさでかっと目がされる日々が続いていく。

でも退職金が出たんだろうって??

そう、出た。でも車二台買って、八割方消えた。それくらいの金額だ。

義理の母親からはばかだ、あほだとののしられたようだ。(直接は聞いていない)

後先考えず、もしかしたらもらえなかった退職金なのだと考えたら、「えーい、使っちまえ!!って思ってしまった。後悔先に立たずだが、本来は自分の年齢と体力を考えればもうまともな仕事ができないのは自明の理なので、この虎の子のような退職金は家族のため、今後の生活のために大事に大事に使っていくべきなのだ。

なのに、なのにこの男は。

さて勢いで買ってしまったのはトヨタのアルファードハイブリッドとプリウス。

今にして思えばこの原油高の時勢にまさに先見の明あり。

しかし、二台もハイブリッドを買ったトヨタカローラの営業にはいいカモだったんだろうね。

その後貧困の数か月を味わうことになろうとは考えなかったのだろうか?

いや考えた。でもさきほど言ったように、「もらえなかったかもしれない退職金」だったのだ。

なぜって、企業の役員が退任するときは退職金ではなく、退職慰労金といって、制度としては無くてもよい。

もちろん一般労働者の退職金も企業によってまちまちだが、この役員の退職慰労金というのは社長の一言で出す、出さないが決まってしまうといっても過言ではない。

去年退任した役員には出したが、今年からは中止!といとも簡単に決められてしまう。「あんたが気に入らないから、退職慰労金は今年からゼロゼにした!」といわれても文句は言えない。

実はそんな雰囲気だったこの時の社長を半分脅し気味にして、なんとか退職慰労金を手にした。だから「もらえなかったかもしれないお金だ!」と自分で勝手に解釈し、ハイブリッド車二台の大判ぶるまいをトヨタカローラにしてしまった。当時のトヨタの営業マンと店長はボーナスよかっただろうね。